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(15-11号 躍進するNYの地銀‐ノースフォーク銀行の経営戦略(その1))
・巨大なNY市場
ニューヨーク市は、市内だけで800万人、周囲を含めると2千万人を超える大都市ですから、世界金融の中心であるだけでなく、ローカルのリテール市場としても巨大な市場です。しかも、移民の流入などにより、人口はさらに増加傾向にあります。NYの中心であるマンハッタン地区ののリテール市場では、JPモルガンチェースおよびシティバンクという2大メガバンクがそれぞれ預金シェアを30%以上有していますが、多くの金融機関が成長するこの市場に進出をかけています。今号および15-13号では、そのうちのノースフォーク銀行という有力地銀の戦略をご紹介します。
・ノースフォーク銀行とは
ノースフォーク銀行は、NY市からみると東にあるロングアイランド地区を拠点とした、総資産約2.4兆円、従業員数約2,900人の銀行です。もともとは小さな銀行でしたが、ここ14年間で13件の金融機関の合併を行い、現在の規模までに急成長しました。優良な銀行として、雑誌などにも取り上げられることが多く、注目されている銀行です。
![]() ニューヨーク市内には様々な銀行の支店があります (ノース・フォーク銀行の支店の一つ) |
・メインターゲットは企業
同行のメインターゲットは、個人ではなく企業です。企業取引を重視しており、個人との取引はさほど重視していません。個人取引を重視する場合、保険や投資信託のクロスセリング(同じお客さんに様々な商品を販売すること。)に力を入れたり、顧客維持率を管理したりしなければなりませんが、同行では敢えて個人との取引を重視しないことにより、そうした重荷から開放され、得意分野である法人取引に集中し、その顧客のニーズにより的確に応えることが可能となります。同行では法人との融資アレンジおよびキャッシュマネジメント(資金管理)サービスを重視しており、例えば契約の関係ですぐに資金が必要な企業に対しても、スピーディーな融資を行うことが可能となります。
・低コスト戦略
同行の強みは、コストが非常に低いことです。たとえば、エフィシエンシー比率(非金利費用/(ネット金利収入+非金利収入)はわずか33.5%(同業平均55.1%)です。コストが低いということは、キャッシュマネジメント等のサービスを他行よりも低い価格で提供できるため、競争力があります。
・リスクをとるな、預金を取れ
こうしたことから、同行はリスクのある融資取引には慎重です。米国では、預金取引といえば当座預金などの要求払い預金が中心であり、金利はほとんどつきません。よって、資金調達コストは低く、経費さえ抑えられれば、貸出を無理に伸ばさなくても債券運用中心でもやっていけるのです。こうしたことから、同行ではインセンティブ(従業員のボーナス)は預金をいかに多く集めたか、により決まります。貸出担当者であっても、貸出を伸ばしてもボーナスにはならず、預金をとればボーナスになるのです。
(15-13号に続く)