少子・高齢化の影響と課題

−男女共同参画社会の構築と社会保障制度の抜本的改革が必要−

 

1.50年後には2.8人に1人は高齢者。女性や高齢者の労働力活用が不可欠

老年人口比率は2002年の18.5%から2050年には35.7%にまで上昇し、2.8人に1人が老人という高齢社会を迎えることになる。女性の高学歴化などに伴って出生率が1.36にまで低下するなど、少子化による労働力人口の減少が懸念されている。労働力不足に伴う潜在成長力の低下を回避するために、育児環境の整備や定年延長・継続雇用の促進といった、女性や高齢者の労働力を十分に活用できる経済社会システムへ構造を転換させる必要がある。

2.高齢者世帯の増加は貯蓄率の低下要因だが、将来不安から現役世代は消費を抑制

子ども達とは別に老後の生活を送る傾向が強まっており、高齢者の単独および夫婦のみの世帯の数が増加している。消費性向の高い高齢者の増加と核家族化の進行は消費支出の押し上げに寄与し、マクロでみた貯蓄率は低下基調を辿るものと予想される。ただ、現役世代では、年金制度の維持可能性に対する不安感の高まりから、老後の生活をより安定的なものにするために、現在の消費を犠牲にして貯蓄を増やす傾向が強まっている。

3.給付水準の見直しを含めた抜本的な社会保障制度改革が必要

医療制度改革に伴い、2003年4月からサラリーマンなどの医療費窓口負担が3割に引き上げられる。しかし、入院日数の短縮化や医療システムの効率化といった医療費自体の抑制が図られなければ、患者負担を高めたところで、医療保険制度の持続性が保証されるわけではない。また、公的年金制度においても積立不足が深刻化しつつあり、将来的には税・社会保険料負担率の引き上げや給付水準の抜本的な見直しが避けては通れない。

4.少子・高齢化の進展で生涯現役社会、男女共同参画社会への転換が急務

少子・高齢化は、現役世代の負担を高めることで経済の停滞を招くおそれがある。経済を活性化させるために、生涯現役社会を構築することで、高齢者の自立を促し、労働力の確保や持続性のある社会保障制度への転換を図ることが重要である。日本経済が安定した成長を成し遂げるためには、生産性の向上をもたらす技術開発を促進するほか、男女共同参画社会への取り組みを強化することで、出生率の上昇や女性の潜在的労働力の活用を推し進める必要がある。

 

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